絶対安静始まりました。 ⑯

体験記16回目

 

ヘロヘロになりながら、ストレッチャーで病室に戻ってきました。

とにかく終わったのは良いことです。

歩いて手術室に行ったけれど、帰りはストレッチャーです。

行きとは違って、完全に病人になって帰ってきた感じです。

病院の天井を見ながら戻ってきました。

ここに何か絵が描いてあったら面白いですね。

励ましの言葉でもいいですね。

 

「よくやった」

「ウエル ダン」

 

家人が心配そうに見ています。

 

エレベータで上がって、廊下を転がって、

病室まで、天井を見て進みました。

体も脱力感から力も入りません。

 

1、2の3でベッドに寝かされました。体重80kgの私が転がされました。

すごい力ですね感心しました。

腕力もいる仕事ですね。

 

鼠径部はこれでもかというように固く硬く固定されていました。

強力サポータやら強力絆創膏やらでぐるぐる巻きです。

血管を切っているからです。

 

さあ、絶対安静の始まりです。

睡眠薬で眠らせてもらうことはできないものでしょうか。

もう、8時間はトイレにも行けません。

 

大も小もだめ、だいたい体の向きを変えることすらできません。

ここが頑張りどこ、試練だと心を決めました。

 

トイレのことを頭から切り離します。行きたくなっちゃうからです。

 

こうなると、尿道カテーテルの方がいいのかもしれませんね。

 

とにかく、寝ちゃえばいんだと思いますが、そうはうまくいきません、

 

シューシューカチという音がずっと続きます。

これは、ふくろはぎに装着された、空気によってマッサージする機械の音です。

体が動かせないので、足だけマッサージ機に接続されたのです。

ずーとマッサージされます。エコノミークラス症候群のように、

血栓ができないようにするためにするためです。気持ちは良いのですが、

これで眠れない。一晩中足をもまれています。

 

しかし、そこまでするということは、エコノミー症候群になった人がいるということですかね。

 

背中も痛くなってきた、気にしちゃいかん、と思えば思うほど気になりますね。

これは、もはや座禅の世界ですね。

これ以上いたくなったら、ひっくり返してもらおうとか、いろいろ考えて眠れない。

 

ながーい夜が始まりました。

足元の方のベットから、話が聞こえてきました。

手術を受けたいが、身元引受人が見つからない、

家族親戚と疎遠で、頼める人がいない。というような話でした。

そういうこともあるよな。結婚して家族がいて、また、

兄弟がいてそれだけですごい幸運なことだったんだ。

ありがたや。感謝せねばならない。

また、思考は背中の痛みに戻りました。

さて、背中が痛くて、もう辛抱がたまらず、絶対安静ですが、

少しずつ体位を変えたり、曲がったり、伸びたりしながら、夜明けを迎えました。

何度時計を見ても、少しも時間は進まず、

いつまでもつかない国際線の飛行機のようですね。

薄日が差してきました。

心臓は、多少の不整脈をもちながらも、洞調律を保っています。

頼むから、このまま推移してほしい。

何せ、心臓の中がやけどしているのだから、期外収縮は起こるでしょう。

これが粗動の引き金にならないことを祈ります。

やけどが治ったらまた、通電したりして、いろいろなことを考えます。

気付いたら、6時になりました。

看護師さんが現れました。これから医師が来て、傷口の消毒をします。

多少は動けるようになりますし、トイレにも行けます。

との、朗報を伝えて去りました。

医師がきて、傷口を見て、「いいですね。」

ペロ(消毒薬をぬるおと)

また、きつくきつくサポーターでぐるぐる巻きにして去りました。

 

結束ができて硬くなり、2,3か月かかったという記事も見ました。

トイレに行くために立ってみました。

 

立てません、ふらふらします。

よちよち歩きの赤ちゃんのようにつかまり立ちしました。家人が見て心配してます。

今日から、生まれ変わった気持ちになって頑張ります。

 

とにかく、今日は無理ですが、明日は退院できそうです。

だんだん元気が出てきました。北海道に帰るぞ。

このあと、近くのホテルにもう一泊して、北海道に帰ります。帰れたら。

ゴールデンウイーク真っ最中、みんなは楽しく暮らしているのでしょう。

羨ましいです。

少し休んでいる間に、家人に頼んで、

銀行のキャッシュコーナーで50万ほどおろしてきてもらいました。

40万円の支払いがあるからです。

後で戻ってくるということですが、今は40万円支払わないと、北海道に帰れません。

入院手術費は高額です。明細を見ましたが、実際の金額は100万円をはるかに越えで、

3割負担を払います。

高額医療の申請の書類を持ってきていなかったので、現金で払って帰ります。

あとで、申請が通れば、健康保険組合からお金が戻ってくるのです。

実際の負担は10万ぐらいだと思いますが。

これぐらいで間に合うはずです。

あと、この街で買ったズボンとか下着靴下の費用、飲食代もかかりました。

家内のホテル代金、

何せ二泊で帰る予定がもう10日こっちにいます。

ホテルの費用、JALの帰りの航空券はカードで払いました。

それから、新千歳空港に置きっぱなしになっている車の駐車料金も高額です。

最終的には、任意で入っている保険から、入院特約、手術特約で結構な額が振り込まれ収支はトントンになりました。

もともと旅行感覚で荷物も何もなかったので、荷造りは簡単にすみました。

ナースステイションに挨拶に行きました。

とっても、よくしてもらったなと思いました。

スポンサーリンク
おすすめの記事